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採用コストが下がらない本当の理由——媒体依存の構造とショート動画が切り開く採用戦略
  1. 採用コスト、まず内訳を正確に把握する
  2. なぜ採用コストは下がりにくいのか——構造的な問題を読み解く
  3. 採用コストを削減する5つの実践アプローチ
  4. ショート動画採用が「コスト削減×採用質の向上」を両立できる理由
  5. 採用コスト削減で陥りやすい3つの落とし穴
  6. まとめ:採用コスト削減は「節約」ではなく、採用の構造改革

「採用コストを下げたい」と言いながら、毎年同じ媒体に掲載し続けている——そんな状況、思い当たりませんか?

問題は「削減の方法を知らない」ことではなく、「コストが高くなる構造から抜け出せていない」ことにあります。求人媒体に手数料を払い続けるモデルには、価格が下がりにくい根本的な理由があります。そして近年、TikTokやInstagram Reelsを使ったショート動画採用が注目されているのは、単なるトレンドではなく、その構造そのものへの解答でもあります。

この記事では、採用コストの内訳と増加の構造を整理しながら、ショート動画を活用した採用マーケティングなど、中長期でコストを下げていくための実践アプローチを解説します。

採用コスト、まず内訳を正確に把握する

採用コスト、まず内訳を正確に把握する

「採用コストを削減したい」と言う前に、まずそのコストが何で構成されているかを正確に把握することが出発点です。「なんとなく高い」という感覚だけで動き出してしまっている企業が、実は少なくありません。

外部コストと内部コストという考え方

採用コストは大きく「外部コスト」と「内部コスト」に分けられます。

外部コストとは、社外のサービスや業者に支払う費用です。求人媒体への掲載費用、人材紹介会社への成功報酬、採用イベントへの出展費、採用広報のための制作費などがここに含まれます。金額が明確で「削れる実感」が持ちやすいため、コスト削減の議論になるとまず外部コストが槍玉に上がります。

内部コストとは、採用活動に費やされる社内リソースのコスト。採用担当者の人件費、選考・面接に割く管理職の時間、内定後の入社手続きにかかる工数などです。数字として見えにくいため見落とされがちですが、採用活動が長引けば長引くほど膨らんでいきます。

採用コストは氷山に似ています。水面上に見えている外部コストだけに目が向きがちですが、水面下に沈んでいる内部コストの方が実は大きい、というケースも珍しくありません。「外部コストだけ削った結果、採用担当が疲弊して内部コストが爆増した」というのは、採用現場でよくある失敗パターンです。削る前に、どちらのコストが問題なのかを見極めることが先決です。

1人あたりの採用コストの平均相場(中途・新卒)

では実際にどのくらいかかっているのか。マイナビの調査データで確認してみましょう。

中途採用における2024年の1社あたりの年間採用費用は平均650.6万円、1人あたりに換算すると平均134.6万円という結果が出ています(※1)。売り手市場が続くなかで採用コストは右肩上がりの状態であり、前年比でも増加傾向にあります。

一方、新卒採用の平均採用単価は90万〜100万円前後とされています。一度に複数名採用するため単価は抑えられる一方、説明会や採用PR動画などの制作費がかさみやすいのが特徴です(※2)。

また採用手法別に見ると、最もコストが高いのは人材紹介サービスで年間平均372.1万円。ダイレクトリクルーティングが232.7万円と続きます(※1)。これだけの費用が一手法に集中していることも、採用コストが下がらない一因です。

なぜ採用コストは下がりにくいのか——構造的な問題を読み解く

なぜ採用コストは下がりにくいのか——構造的な問題を読み解く

コストの全体像がつかめたところで、次の疑問が浮かびます。「なぜこれだけ費用をかけているのに、削減できないのか?」答えは、採用コストが高くなる「構造」そのものにあります。

求人媒体の手数料は、なぜ高いのか

人材紹介サービスの成功報酬は一般的に理論年収の30〜35%が相場とされています。年収600万円の人材を1人採用した場合、単純計算で180万〜210万円の手数料が発生します(※3)。この水準は、10年以上ほとんど変わっていません。

なぜこれほど高いのか。理由はシンプルで、採用側(企業)が「人材紹介会社がいないと採用できない」という依存状態にある限り、価格交渉力が生まれないからです。

求人媒体の掲載費も同様の構造。大手媒体ほど登録求職者数が多く、企業は「そこに載らないと母集団が作れない」と感じて掲載し続ける。媒体側はその需要を背景に価格を維持できます。「使うしかない」という状況が、価格の高止まりを生んでいます。

「媒体を増やすほどコストが膨らむ」悪循環

採用がうまくいかないとき、多くの企業がとる行動があります。「媒体を追加する」ことです。

1つの媒体で思うように応募が集まらない→別の媒体も試す→また集まらない→さらに追加する——この繰り返しで、気づけば複数の媒体に掲載費を払い続けているというケースは珍しくありません。

しかしこのアプローチには根本的な問題があります。媒体を増やすことは「母集団の量」を増やす試みですが、採用コストが高い本質的な原因が「自社の採用ブランドが弱く、求職者に選ばれていない」ことにある場合、いくら媒体を増やしても解決しません。スクリーニングコストと選考工数だけが増えていくことになります。

採用ブランドの不在が、コストを慢性的に押し上げる

採用ブランドの不在が、コストを慢性的に押し上げる

「新規顧客がなかなか増えない」「営業コストが上がっているのに採用が決まらない」——こういう停滞感、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。原因をマーケティング施策の問題だと捉えてしまうケースが多いのですが、実際には採用ブランドの問題であることが少なくありません。

採用ブランドが弱い会社は、求職者に「選ばれる理由」を持っていないため、媒体の露出量や給与条件で勝負するしかなくなります。広告費を積み増す前に、まず「なぜ自社が選ばれていないのか」というブランドの問題を疑ってみてほしいと思います。広告費を増やしても、採用ブランドに穴が開いたままでは、じわじわと費用が漏れ続けるだけです。

採用コストが高い会社に共通するのは、「採用」と「ブランディング」を別の部署の話だと思っていること。採用広報に使うコンテンツは、そのまま企業ブランドを作るものです。切り離して考えている限り、どちらも中途半端になります。

採用コストを削減する5つの実践アプローチ

採用コストを削減する5つの実践アプローチ

構造的な問題が分かれば、打ち手も見えてきます。重要なのは「今すぐ節約できること」と「中長期で構造を変えること」を分けて考えること。どちらか一方だけでは、問題は解決しません。

自社採用サイト・採用オウンドメディアの整備

自社採用サイト・採用オウンドメディアの整備

最もコストパフォーマンスが高い施策の一つが、自社採用サイトの充実です。一度作ってしまえば掲載費用はかかりません。そこに採用に関するコンテンツ(社員インタビュー、仕事のリアル、カルチャーの紹介)を積み上げていくことで、媒体に頼らない自前の採用チャネルが育ちます。

国内の好事例として挙げられるのが、生活雑貨のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムです。同社は採用専用の特設コンテンツや社員の日常を発信するブログを通じて、「ここで働きたい」と感じる人が自然に集まる採用設計を長年かけて構築しました。同社のプレスリリースによると、春秋2回の定期採用で年間1,000人以上の応募が集まり、2023年からキャリア採用が不定期開催になってからも求職者向けのメール登録フォームに1年で2,000人以上が登録したと報告されています。媒体費に大きく依存しない採用モデルの国内における先進的な事例です(※4)。

 

リファラル採用(社員紹介制度)の設計

社員が友人・知人を紹介するリファラル採用は、採用単価を大幅に下げられる手法として注目されています。一般的に紹介インセンティブ(1人あたり数万〜数十万円)を支払っても、媒体費・エージェント費に比べてコストは抑えられます。

さらに、紹介経由の採用はカルチャーマッチの精度が高く、入社後の定着率も向上しやすい。マイナビの調査では、採用後に「やっぱり離職」を経験した企業が39.6%に上り、その要因の第1位が「仕事内容のミスマッチ(24.5%)」でした(※1)。コスト削減と定着率向上を同時に狙える手法です。

国内ではソフトウェアテスト企業のSHIFT(シフト)が、急成長期にリファラル採用を採用チャンネルの柱の一つに据え、組織規模を拡大しながらも採用の質を維持し続けた事例として知られています。

ダイレクトリクルーティングへの移行

ビズリーチやLinkedInなどのダイレクトリクルーティングは、人材紹介経由よりも手数料を低く抑えられることが多い手法です。定額のデータベース利用料+採用成功時に年収の15〜20%程度という体系が一般的で、エージェントの30〜35%よりも費用面では有利です。

ただし、スカウト文の作成や選考対応を自社で担う必要があるため、内部工数の増加には注意が必要です。「外部コストを削ったら内部コストが増えた」という典型的な落とし穴になりやすい手法でもあります。

SNS採用・採用広報の強化

Instagram、X(旧Twitter)、LinkedInを活用した採用広報は、求人媒体への依存度を下げながら認知と共感を広げる有効な手段です。日々の投稿を通じて会社の文化や雰囲気を発信し続けることで、「もし転職するならここ」という認知を平時から積み上げていきます。

「採用したいときだけ発信する」のではなく、採用活動の有無に関わらず継続することがポイント。採用ブランドは一朝一夕には作れません。

ショート動画を使った採用マーケティング

近年、最も注目度が高い採用手法がショート動画です。TikTok・Instagram Reels・YouTubeショートなどを活用し、働く現場のリアルや社員の素顔を短い動画で発信する採用スタイルは、特にZ世代・ミレニアル世代の求職者へのリーチで圧倒的な効果を発揮しています。

ショート動画採用については次の章で詳しく解説します。

ショート動画採用が「コスト削減×採用質の向上」を両立できる理由

ショート動画採用が「コスト削減×採用質の向上」を両立できる理由

ショート動画採用がなぜこれほど注目されているのか。「TikTokが流行っているから」という話ではありません。求職者の情報収集行動が根本的に変わったことへの対応です。

なぜショート動画が求職者の心を動かすのか

なぜショート動画が求職者の心を動かすのか

テキストや静止画では伝わりにくい「職場の空気感」「人のキャラクター」「仕事のリアル」が、60秒の動画で伝わる——これがショート動画の本質的な価値です。テキストの求人票を読むだけでは、「自分はここに合うのか」という判断がしにくいと感じたことはないでしょうか。動画で実際に働く社員の話し方や現場の雰囲気が分かると、「ここは合いそう」「ここは違う」という判断が直感的にできる。結果として、応募者全体の質が上がり、選考のミスマッチが減るという効果が生まれます。

コスト削減という観点では、動画コンテンツの制作・運用コストは人材紹介1件分の成功報酬よりも安くなることが多く、継続的に資産として積み上がるという特性があります。求人媒体への掲載費が「毎月払い続けても何も残らない賃貸」だとすれば、採用コンテンツは「時間をかけて自分の資産になる持ち家」に近い感覚です。「一度払ったら消える」コストとは根本的に性格が異なります。

採用動画と会社のブランドイメージが乖離している会社は多い。採用だけ急に「カジュアルでいい職場」を演出しようとしても、求職者はすぐ気づく。採用コンテンツはブランドの鏡です。

国内外の企業事例——ショート動画で採用を変えた会社たち

Chipotle(チポトレ)/米国

アメリカのファストカジュアルレストランチェーンであるChipotleは、TikTokを採用チャンネルとして本格活用した先駆け的な企業です。2021年7月、TikTokが提供する「TikTok Resumes」機能をいち早く採用に導入。求職者が動画履歴書を#TikTokResumesのハッシュタグとともに投稿し応募できる仕組みを展開し、Z世代の採用を目的に約15,000人の追加雇用を目標としたキャンペーンを実施しました。「履歴書を送る」という従来の応募形式を変えたことが、採用体験そのものの革新として話題を呼びました(※5)。

 

McDonald’s(マクドナルド)/イタリア

マクドナルドはイタリアでTikTokを活用した採用キャンペーンを展開し、TikTok for Businessの公式ケーススタディとして取り上げられています。In-Feed広告フォーマットを使った採用訴求で2,400万インプレッション・15万クリック以上を達成。店舗スタッフの働く現場を映したクリエイティブは、採用広告特有の”整いすぎた印象”を払拭し、若い求職者からの共感を集めました(※6)。ブランドと採用の両軸を動画で統合したモデルとして評価されています。

国内の動向

日本国内でも、外食・小売・美容などのアルバイト採用を中心に、TikTokやInstagram Reelsを活用した採用広報が広がっています。「職場の雰囲気を伝えるだけ」の動画でも、テキストの求人票では届かなかった層に刺さるケースが増えており、特にZ世代の求職者との相性の良さが実感されています。

リシンクでは2019年からショート動画事業を開始し、企業の採用支援に特化したショート動画を300本以上制作してきました。企画・撮影・編集・広告運用まで一貫して対応できる体制を持ち、採用コンテンツをどう作れば求職者の心に届くかという知見を蓄積しています。【内部リンク:ショート動画制作サービス】

ショート動画採用を始めるときの3つのポイント

① 「広告」ではなく「コンテンツ」として設計する

ショート動画採用で失敗しやすいのは、「求人広告をそのまま動画にしただけ」になってしまうケースです。視聴者は広告的な演出に対して反射的に興味を失います。「この会社で働く人のリアルな一日」「入社前に知らなかったけど実は〇〇な仕事だった」といったコンテンツ目線の設計が重要です。

② 継続性を設計に組み込む

ショート動画は一発ではなく、継続投稿によってフォロワーや認知が積み上がる性質を持っています。「単発でバズらせる」より「月に数本を継続して発信する」ほうが、採用ブランドの醸成という観点で効果的です。

③ 分析と改善のサイクルを回す

再生回数・保存数・コメントの内容を見ながら「どの動画がどの層に刺さっているか」を継続的に把握することが重要です。感覚ではなくデータで改善を積み重ねることが、ショート動画採用の精度を上げていきます。

採用コスト削減で陥りやすい3つの落とし穴

採用コスト削減で陥りやすい3つの落とし穴

採用コストを削減しようとするとき、意図とは逆の結果を招く失敗パターンがあります。実行前に確認しておきたい「落とし穴」を3つ整理します。

落とし穴①「削減=媒体を減らす」という発想の危うさ

コスト削減の文脈で最も多い行動が「媒体の本数を減らす」です。効果の薄い媒体への出稿を見直すこと自体は合理的ですが、「なぜその媒体で採用できていないのか」の原因分析なしに削るだけでは、母集団そのものが縮小します。

採用コストを減らしたいなら、まず「今の媒体で採用できていない理由」を問うことが先決です。求人票の訴求力が弱いのか、条件が競合より劣っているのか、そもそも認知が足りないのか——原因によって打ち手はまったく異なります。「削る場所」を間違えると、コストと採用数が同時に悪化する、ということになりかねません。

落とし穴②コスト削減とミスマッチ増加が同時に起きるケース

採用コストを下げようとして「条件の合わない候補者も採用する」という妥協をした結果、ミスマッチが増えて早期退職が続き、再採用コストが発生して結局トータルでは高くついた——こういうケースが現場では起きています。

マイナビの調査でも、「離職リスクを懸念しつつも採用したところ、やはり離職となった(やっぱり離職)」を経験した企業は39.6%に上ります(※1)。採用コスト削減は、定着率向上とセットで設計しなければ机上の計算に終わります。

落とし穴③採用ブランドへの投資を「コスト」と見なしてしまう問題

採用コンテンツの制作費や採用広報への投資は、短期的には「コスト」に見えます。しかしこれは、長期的には採用単価を下げる「資産への投資」です。

採用ブランドが育ってくると、「媒体に出稿しなくても自社サイトやSNSから応募が来る」という状態に近づいていきます。「今期の採用コストを削る」ことと「来期以降の採用コスト構造を変える」ことは、まったく別の問題です。目先の節約が、構造改革の機会を先送りにしてしまう——このトレードオフを意識することが重要ではないでしょうか。

採用ブランドへの投資を渋る会社は、毎年同じ媒体費を払い続けます。一方で採用コンテンツを資産として積み上げてきた会社は、数年後に明確なコスト差が生まれます。短期のコスト削減と中長期の構造改革を混同しないことが、採用担当者に求められる視点です。

まとめ:採用コスト削減は「節約」ではなく、採用の構造改革

採用コストが下がらない根本には、「媒体への依存」と「採用ブランドの不在」という構造的な問題があります。手数料の高さは、その依存関係から生まれる必然的な結果です。

コスト削減を「今期の予算を削ること」として捉えるのではなく、「自社が選ばれる採用チャネルを育てること」として設計し直す。これが採用コスト問題の本質的な解答です。

ショート動画採用はその文脈でいま最も注目されている手法の一つです。媒体費に依存せず、コンテンツを通じて採用ブランドを自ら構築できる。その積み上げが、採用コストの構造そのものを変えていきます。

ブランディングとマーケティングの両輪を採用の文脈でも機能させること——それが、採用コストを削減しながら採用の質を上げていくための、いちばん確かな道筋です。

採用支援・ショート動画制作についてのご相談は、株式会社リシンクへお気軽にどうぞ。【内部リンク:お問い合わせ】

参照データ一覧

※1 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250326_93514/
※2 就職みらい研究所「就職白書2020」https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/02/hakusho2020_1.pdf
※3 人材紹介手数料については業界慣行として広く知られる水準(理論年収の30〜35%)を参考値として記載
※4 株式会社クラシコム プレスリリース(2024年8月)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000024748.html
※5 Chipotle Mexican Grill プレスリリース(2021年7月)https://newsroom.chipotle.com/2021-07-08-Chipotle-Leverages-TikTok-Resumes-To-Help-Grow-Its-Purpose-Driven-Workforce
※6 TikTok for Business ケーススタディ(McDonald’s Italy)https://ads.tiktok.com/business/en-US/inspiration/mcdonald%E2%80%99s-877

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